日本には情緒あふれる美しい四季があり、時期に応じて野草は順番に芽吹きます。旬の野草は、その季節に人が起こしやすいトラブルの症状に役立つ効能を持っています。そして日本の土地で育った野草のお茶は、日本人の心と身体によく馴染みます。
その時期の野草をお茶にして飲むことは、日常で気軽に続けやすいですが、料理に食材として使うのもとても良い活用法です。旬の野草の効能も丸ごと取り入れることができますし、料理をしながら季節を感じる事もできます。
これから季節の野草茶の料理レシピを紹介します。野草茶を柔軟に楽しんでみましょう。
Contents
野草茶の料理レシピ
四季の薬草茶を使った料理レシピ
- よもぎのトマトパスタ
- マタタビと鮭の彩り南蛮漬け
- ミズの実の酢の物
春の野草茶の料理 よもぎのトマトパスタ
春に萌え出た野草は、冬の間に体内にたまった老廃物などを排出してくれる作用があります。春の摘み草の代表のよもぎは、3月から5月頃に旬を迎えます。昔からよもぎ餅、炙りのもぐさ、端午の節句など生活に根ざした大事な関わりを持つ野草です。
よもぎは、美肌、便秘解消、アレルギーや生活習慣病など優れた作用を持っています。よもぎとキノコをトマトパスタに加えて、精のつくにんにくを入れると、栄養価が高く、彩りの良いよもぎのトマトパスタが出来上がります。
◎料理レシピ(1人分)
1.よもぎの葉(茎から外した葉を2つかみ程度)のあく抜きをします。なべに材 料の5倍くらいの量の水を沸騰させて、塩を一つまみいれます。よもぎの葉を入 れてさっと茹でたら速やかに冷たい水の中に放ちましょう。冷えてきたらざる にあげて水を切ります。
2.鍋に湯を沸かして、スパゲッティ(120g)を表記時間の通りに茹でます。
3.フライパンにオリーブオイルを入れて熱した後、アク抜きしたよもぎを中火で 炒めて、ある程度水気を飛ばした後、しめじと舞茸(各30g)とベーコン(4 枚)を入れます。
4.しめじと舞茸がしんなりして、ベーコンに火が通ったらトマト缶(1/3缶)、にん にくをおろしたもの(小さじ1/3)、コンソメ(小さじ1/2)、塩コショウ(適量)を加えて中火で3分ほど炒めます。
5.4に茹でたスパゲッティを加えてからめたあとに、器にもって出来上がりです。
よもぎはあく抜きをすると葉の色が鮮やかになりちょうどいい柔らかさになりますが、あくを抜きをしすぎると有益な効能成分がなくなってしまいます。色や風味、歯切れの良さを残す事があく抜きの大切なポイントです。
夏の野草茶の料理 マタタビと鮭の彩り南蛮漬け
夏の野草は繁殖力が強く、暑い夏を乗り切るのに頼もしい効能を持つ野草が多いです。6月から7月が旬のマタタビは、日本全土の山地に生える落葉つる性の植物です。「猫にまたたび」ということわざもあるほど、猫の大好物の植物として知られています。
マタタビは、神経痛、冷え性、腰痛、中風、疲労回復効果などがあります。トマトやカボチャの緑黄色野菜と鮭の南蛮漬けに、マタタビを添えればカラフルでスタミナ満点の南蛮漬けが出来上がります。
◎料理レシピ (1人分)
1.マタタビの芽(10本くらい)のアク抜きします。ゆでて水にさらした後、冷え てきたらざるにあげて水を切ります。
2.カボチャ(40g)の種とわたを除いて、レンジで1分加熱してから厚さ7cm程度 に切ります。
3.生鮭(1切れ)の骨を取り除いて、塩を少々ふってから、片栗粉を全体にうすく まぶします。
4.つけ汁の材料(ポン酢大さじ4、麺つゆ大さじ2、お水100cc、砂糖小さじ1)を 鍋に入れて、軽く混ぜた後に強火にかけます。沸騰したら火を止めてそのまま 置きます。
5.ミニトマト(3粒)を半分に切って、容器に入れて冷蔵庫で冷やします。
6.フライパンに揚げ油を2〜3cm程深く入れて熱した後に150〜160度の低温でカボ チャを柔らかくなるまで揚げて、つけ汁の中に入れます。
7.鮭を2〜3分程、表面がカリッとなるまで揚げたら、同様につけ汁に入れます。
8.揚げた鮭とカボチャ、アク抜きしたマタタビ、つけ汁を容器に入れて冷蔵庫で 、冷やし、熱も冷めて味がしみたら出来上がりです。食べるときに南蛮漬けを器によそった後、切っておいたミニトマトを付け加えると彩りが良くなります。
マタタビの芽は、初夏に伸びだした若芽を使いましょう。若い芽の方が柔らかくて香りが強いので食用に使いやすいです。
秋の野草茶の料理 ミズの実の酢の物
秋の野草は冬に向かう厳しい時期だけあって、風邪や利尿、腫物、滋養強壮などに大きく役割を果たしていたようです。
山地の湿った斜面や渓流などに群生する多年草のウワバミソウは、9月から10月頃になると茎と葉の付け根に、小さくて丸い小豆のような色をしたムカゴ状の実をつけます。それをミズの実といいますが、とろみがありながらシャキシャキとした食感で、独特の味わいにやみつきになる方も多いようです。
ミズの実は美肌効果や抗酸化作用があり、ビタミン・ミネラルが豊富です。味にはクセやアクもなくて、豆のような甘みがあります。酢の物にすると、ミズの実の持ち味の風味をストレートに出すことができて、独特の食感も楽しむ事ができます。
◎料理レシピ (1人分)
1.ミズの実(30g)を、塩(一つまみ)を入れたお湯でさっと茹でます。
2.茹でたら冷水で冷やして、大体5cm位の長さに切ります。
3.三杯酢(酢大さじ3、醤油大さじ1 、砂糖大さじ1、塩小さじ1/4、だし大さじ1) を作り、茹でた水の実を器によそえば出来上がりです。食べる直前に三杯酢に あえると、水の実の風味や食感を美味しくいただけます。
水の実は茹でると緑色に色が変わります。茹ですぎると風味が落ちるので、色が変わったら速やかに冷たい水の中に入れるようにしましょう。
冬の野草茶の料理 陳皮とはと麦の薬膳粥
冬になると収穫できる食材が少なく思えますが、冬でも食べることのできる野草もあります。日本人に馴染み深いみかんは、10月から2月頃が収穫の時期です。
みかんの実は身体を冷やしますが、みかんの皮の陳皮は身体を温めます。陳皮に含まれるリモネンは、脂肪の蓄積を抑える効果もあるので、冬に太りがちな方には嬉しい野草です。また、気の巡りをよくして消化・吸収を促進する作用もあります。
便秘やむくみに作用するはと麦のお粥に陳皮を加える事で、お腹に優しくて柑橘の心がなごむ香りが漂う薬膳粥になります。
◎料理レシピ (1人分)
1.はと麦(30g)はよく洗ってから細かくひき砕きます。
2.うるち米(30g)を洗っておきます。
3.はと麦とうるち米を同じ土鍋に入れて、多めに水を入れて炊き、粥にします。
4.柔らかくなったら塩やごま油(適量)で味付けをして、陳皮を散らして出来 上がりです。
うるち米は脾臓や胃腸の機能を高める効能があるので、はと麦と一緒に煮て粥にすることでその働きが高まります。陳皮も一緒に煮込むと効能が出やすくなります。
まとめ
四季それぞれにその時期の野草があります。旬の野草はその時期に有益な効能を持っていて、食べることによってそのままその効能を摂ることができます。今回は四季に応じて食べられる野草の料理レシピを紹介させていただきました。
はじめに紹介しました春に旬のよもぎは、栄養豊富で美肌や便秘改善に役立ち、生活習慣予防にも効果があります。サラダに使う場合を除いて、あく抜きをして調理します。
あく抜きをするときは、有益な生理作用や風味をそこなわない程度にゆでてあく抜きをしましょう。下処理のすんでいるヨモギは、春菊やほうれん草などのように様々な健康料理に使えます。
山地に生える落葉つる木のマタタビは、初夏に伸びる若芽を摘んで料理します。マタタビの芽もあく抜きをして、おひたしや和え物にすると美味しく食べられます。
冷え性や神経痛、腰痛や中風、滋養強壮、疲労回復などがあり、健康効果も優秀です。
マタタビは秋になると先のとがった楕円形の実をつけ、黄色に熟します。実は熟せば甘いので生食もできますが、塩漬けや果実酒などにも利用されています。
春から初夏に旬を迎えるウワバミソウは、山地の湿った斜面や渓流の横などにある多年草で、知名度はそれほど高くない野草ですが、全国に多くのファンがいます。
秋になると茎と葉の付け根に小さくて丸く、小豆のような色をした実をつけますが、その実はミズの実と呼ばれていて、美肌効果や抗酸化作用、ビタミン・ミネラルが豊富です。味にはアクやクセもなくて、とろりとしていながらシャキシャキ感があり、独特の味わいに一度食べたらやみつきになる方が多いようです。
さっと茹でて酢の物にするなど、水の実の風味を味わうことができるようなシンプルな料理がお勧めになります。
10月から2月頃に収穫期のみかんは、実は身体を冷やしますが皮は身体を温める作用があります。
陰干しや日干しにして乾燥させたみかんの皮を「橘皮(きっぴ)」といい、さらに橘皮を古くしたものを「陳皮(ちんぴ)」といいます。胃にたまったガスを追い出す作用があり、消化・吸収を促進させます。みかんの実と皮の間にある白い筋は「橘絡(きつらく)」といって、喉にある痰をとる作用があります。
陳皮は気を巡らせる作用もあり、お茶や料理以外にも温かい紅茶などに浮かべたりする使い方もあります。はちみつとも相性がよくて柑橘の香りでストレスにも役立ちます。
野草は、人工的・科学的なものではなく天然の植物です。日本の土地で育ち昔から伝統的に使われてきたものは、日本人の心身によくなじみ、不調であまり食欲のない時でも比較的身体に入っていきます。
日本の野草、和のハーブを見直して、日々の料理に役立ててみませんか。